ITコラム「地位が向上したノートパソコン」

Windows Vistaの出足の遅さからか、期待していたような特需はありませんでした。それでも相変わらずパソコンメーカーは、季節ごとに新モデルを発売しています。一部のメーカーを除いて、各社それぞれデスクトップとノートブックを発売しているのですが、最近、大型量販店などのパソコン売り場を眺めてみると、やたらとノートブックの方が目立ちます。

今では確たる地位を得たノートブックのパソコンですが、登場直後の1980年代後半頃は、まだデスクトップの方が主流で、ノートブックはサブ的な立場でした。その頃、ノートブックを持っている人の多くは、普段はデスクトップのパソコンを使用して、出張や外出先でパソコンを使いたい時だけ、ノートブックを持ち歩くのが常でした。性能的にもデスクトップの方が良かったため、メインで使うのはデスクトップで、ノートブックはサブマシンでしかなかったのです。

その後、ノートブック向けのCPU性能がアップしたり、部品の高密度化が進んだことで、年々ポジションをアップしてきたノートブックは、その使い方やスタイルまでも変えてきました。持ち運ぶことを前提に生まれたノートブックですが、家の中のどこでも移動して使えたり、使わない時に片づけておける省スペースから、外に持ち出さない環境でもノートブックを選ぶ人が多くなってきたのです。

そのほかにも、いろいろなメリットを考えてノートブックを選択する人が多いようです。最近ではデスクトップも省電力化されていますが、ノートブックの方が消費電力は少なくてすみます。バッテリで駆動しているので、ブレーカーが飛んだりしても安心です。

しかし一方でデメリットもあります。最近はだいぶ価格もこなれてきましたが、全体的に見るとやはりデスクトップより割高です。これは、小さなきょう体に詰め込むため、部品を小さくする必要があり、その結果、部品価格が高くなってしまうからです。拡張性に乏しいのもノートブックの弱点です。メモリの追加やハードディスクの交換はできますが、デスクトップのように内部にハードディスクを追加したり、大きなディスプレイに付け替えたりすることはできません。

しかし、こうしたデメリットがあっても、パソコン売り場を見るとわかるようにノートブックの人気は高まっているようです。ボーナスの時期も近づいてきました。パソコンの買い替えを検討している人は、ノートブックを候補に入れてみるのも良いかもしれませんね。

端末補助金制度はなくなるか?

先日、電気通信事業者のKDDIが、新しい携帯電話の販売方法を発表しました。au携帯電話(端末)の購入時に端末の料金を一括して支払い、その代わり毎月の使用料金を低廉にする方式です。従来通りの価格で端末を購入して、既存の料金プランを利用する方式も選べます。11月12日以降、auの携帯電話を購入する場合は、新規/機種変更どちらでも、この2つの方式から選択しなければなりません。このような方式が発表された背景には、「端末補助金制度」という仕組みが大きく関係しています。 携帯電話売り場に行くと、0円や1円という価格で端末が売られているのを目にしたことがあると思います。どうして携帯電話がタダ同然の値段で買えるのか不思議に思ったことはありませんか? 理由は、新規契約に対して、事業者から販売店に端末補助金が支払われているからです。つまり、新規契約で携帯電話を売れば、販売店には数万円の奨励金が転がり込むのです。その分、販売価格を大幅に値引いても商売になるという仕組みです。新機種は黙っていても売れるので大幅な値引きはしませんが、前の機種や人気のない機種は、直ぐに価格を下げて販売しています。新規契約と機種変更で端末の値段が違うのも、これが理由です。

こうした補助金は、端末を普及させる上でも重要なものでした。しかし、よくよく考えると、その源はユーザが毎月支払う利用料です。何年も機種変更せずに携帯電話を使っている人は、他人が新しい携帯電話を買うためのお金を、毎月せっせと支払っているといっても過言ではありません。『日本の携帯電話の利用料が高いのはそのせいだ!』という声が上がっているのも事実です。

ソフトバンクでは、端末の料金を分割して毎月の利用料と一緒に支払うことで、多くの端末を0円で販売したり、低価格で提供しています。つまり、自分の端末代は自分で毎月負担しなさいという考え方です。今のところ、NTTドコモには同様の販売方法はありませんが、まぁ、携帯電話業界のことですから、直ぐに同じような方式を採用するのではないでしょうか。

総務省でも、主催する「モバイルビジネス研究会」で、こうした端末補助金制度の見直しを課題の1つとして検討させています。しかし一方では、この制度がなくなれば端末の料金が高くなり、その結果、買い替え需要が少なくなって市場が沈滞化してしまうのではないかと危惧されてもいます。今後、この制度がどうなるかわかりませんが、携帯電話の買い替えや事業者変更を予定している人は、こうした方式の選択も視野に入れてみてください。